本が大好きなベル

爽やかなブルーの服を着たベルが、朝の柔らかい陽を浴びながら、町へ出かけました。町の人たちは「ボンジュール!」と挨拶をします。「美女と野獣」の舞台はフランスなのです。

ベルが住んでいるのは小さな町です。いつもの町を歩きながら、ベルは思います。

[ベル]
Every morning just the same
Since the morning that we came
To this poor provincial town

[字幕]
覚えているかぎり 毎朝が同じ

provincial = 田舎の、偏屈な

このベルが登場するシーンは「朝の風景」という歌になっていて、歌の中でprovincialという言葉が繰り返し出てきます。

[ベル]
There must be more than this provincial life

[字幕]
もっと胸躍る 世界があるはず

ベルは外の世界に憧れているようですね。

町を歩いたベルは、本屋さんへ行きます。看板には「BOOKSELLER」と書いてありますし、町で会った人にbookshop に行くと言っています。しかし、実際はそのお店で本を借りています。

[ベル]
I've come to return the book I borrowed.

[字幕]
本を返しに来たわ

[本屋の主人]
Finished already?

[字幕]
早いね

[ベル]
I couldn’t put it down.
Have you got anything new?

[字幕]
新しい本は入った?

字幕では、文字数制限のためか、I couldn’t put it down.が訳されていませんが、本を置くことができなかった、つまり、読むのを中断して本を置くのが嫌なくらい、おもしろくて夢中で読んだ、という意味です。

そして、これまでに2度も読んだことのある本をもう一度借りるとベルが言うので、本屋の主人は、ベルにその本をくれました。

[本屋の主人]
If you like it all that much, it’s yours.

[字幕]
だったら この本はあげるよ

[ベル]
But, sir...

[字幕]
でも…

[本屋の主人]
I insist.

[字幕]
いいんだ

[ベル]
Well, thank you.
Thank you very much.

[字幕]
うれしい ありがとう

insist は「強く主張する」という意味で、「I insist.」で「ぜひそうして」と遠慮する相手に勧める表現です。

町の人たちは、ベルのことを変わり者だ、空想好きのおかしな娘で、美しいけれども変わっていると言っています。

もらった本を読みながら歩くベルを見て、町の人たちは言いました。

[町の人]
And her nose stuck in a book

[字幕]
本の虫だ

stick in = 突っ込む、はまり込む

鼻が本にくっついて離れないくらい、いつも本を読んでいるのですね。

ベルは水汲み場の脇に座り、近づいてきた羊たちに本を見せました。羊がページの端を噛みちぎって食べても、ベルはおかまいなしです。朗らかに歌い、本の魅力を語り、「乙女が運命の王子に出会う場面が特に好き」と、羊たちに話します。

さて、ベル自身は、運命の王子に出会えるのでしょうか?